10years ago

約10年前、オランダのアムステルダム空港に一人で降り立った時の写真。久しぶりに見ていて、なんだか懐かしくなったので、忘れていることもたくさんですが、記憶にある当時の思い出について。

空港で乗換の電車について聞いたら、なんだかスムーズに英語が通じなくて、あれ・・・私、ここから一人で大丈夫?と思って、その辺に腰かけていったん落ち着こうとした時だったかと。

10年前、当時勤めていた銀行を辞めようと決めたその場で、チケットを予約しました。

特に目的地があった訳ではなく、“世界の車窓から“に憧れていたので、ヨーロッパを電車で移動したいな~、くらいしか考えておらず、電話口の担当の方にお勧めの国を聞きながらその場で予約。有給消化中(だったと思う)に、ドバイ経由でオランダに到着。

勢いだけで予約したので、なーんにも決めておらず、成田空港で慌てて”地球の歩き方“的な本を買い、周りで楽しそうに食事しているグループや家族連れを横目に”わたし、なんで一人でここにいるんだろう。”と我に返り、乗継で降り立ったドバイの空港のバブリーな雰囲気に圧倒され、オランダでコミュニケーションに不安を覚えた際には、ちょっと途方に暮れかけました。

オランダから電車でドイツ、ベルギーへと移動。電車の車窓から見た景色は、確かに美しかった。でも、電車の発着ホームや時刻はクルクル変わるし、ドイツの街中では英語がなかなか通じず、駅からホテルまで近いから、と思ってスーツケースを転がしながら歩いてしっかり迷子になりました。道を聞いても、何を言ってくれてるのかよく分からず、とりあえず分かったふりをして歩き出すと、さっき教えてくれた人が走ってきて”反対よ!“というジェスチャーをしてくれるという始末。

最終的には、明らかに酔っぱらっているおじいさんが、手に持った傘を振り回しながら、”お前、ドイツ語も分からないのに、ここに来たのか~!”という説教をしてくれ・・・(一応、大学の授業で第二言語はドイツ語を選択していたので、かろうじて分かる単語がいくつかだけあったのです。)なんと、親切に、地図を傘で差しながら通りの名前を教えてくれ、”ドイツの道には、それぞれ名前がついている。だから、地図を見て、通りの名前を確認したら、目的地に辿り着けるんだ。“ということを教えてくれました。(全部ドイツ語なんだけど、なんとなく、雰囲気でこう言ってるのが理解できた。)

半信半疑で着いていったら、本当にホテルに到着。もう諦めて、ずーっと日本語で話しかけていた私はたくさんお礼を伝えて、そのおじいさんにサヨナラしました。

そこからは、現地の地図を片手に、おじいさんに教えてもらった通りの名前を確認しながら、暗くなるまでひたすら街並みを眺めて散歩して、日本にいる”おじいちゃん“にも、好きそうな帽子をお土産に買うことが出来て、急に周りの景色を楽しめるようになった気がしました。

その時買った帽子が、第一回目のブログの写真に載っているおじいちゃんが被っている帽子です。おじいちゃんのお気に入りでした。

ドイツでもベルギーでも、一人で食事をしていると、ウェイターさんがたくさん話しかけて来てくれたのですが、大抵、“君は日本人なのに、なんで一人なの?友達いないの?”みたいな質問ばかりで、、、わたし、そんな風に見えているのか?!とショックを受けつつ“友達はいるの~!”と何度も説明しました。

美味しいものを食べても、キレイな景色を見ても、自分の心の中で感じて終わる、というのは私にはどうにも寂しく感じられ、”みんなと共有したい“と、スーツケース半分以上、お土産に買い集めたチョコレートを敷き詰めて、甘い香りのスーツケースと共に帰国しました。それ以来、長距離の一人旅には出かけていません。

この旅で私は、美味しいものを食べたとき、一緒にいる誰かと“美味しいね。”と言えることや、素敵な景色を見たときに一緒に“素敵だね。”と言えたりすることは自分にとって、とても大切なことなのだな、と知ることが出来てよかったと思っています。

そこから10年・・・その時思い描いていた将来の自分とは大きく違う今を生きてはいますが、これはこれで、とても充実した毎日で、これからの10年、どんな変化が待っているのか、楽しみに感じています。

さて、今の私は、時間が出来たとしたらいったい何に挑戦できるのか。これから10年でどんな自分になるのか、なれるのか。なんとなく、自分の中の節目の歳を迎える今年、ゆっくりと考えたいなと思います。

ベルギーの首都、ブリュッセルの”グラン・プラス”
ドイツのケルン大聖堂
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